日本の財政は本当に危機的なのか?①

日銀当座預金
 1990年代のバブル経済の崩壊以降、久しく日本の財政状況は危機的であるといわれてきました。このままでは財政が破綻する、国債の償還ができなくなる、ハイパーインフレになる、金利が暴騰する、円が暴落する、などなど。
 ここ1年くらいは円と米ドルの金利差が原因で少しばかり円安が進みましたが、現在までのところ財政的な危機は何も起きていないのが現実です。
 なぜ、何も起きないのか?そもそも我が国の財政は危機的な状況にあるのか?
 これは決して専門家でないと解答が出せない問題ではないと私は考えています。
 そこで、今回から数回にわたって、金融財政の原理原則を踏まえたうえで、庶民の視点から、この問題について考えてみたいと思います。

◆財務省 「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」
 財務省は平成14年5月2日付の「外国格付け会社宛意見書要旨について」の中で「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」と格付け会社の意見に対して反論しています。そして次のように問いかけています。
  「・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
   ・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
   ・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
   これらの要素をどのように評価するのか?」と。
 これは現在も財務省のHPに掲載されていますので、どなたでもご覧いただくことができます。
 このHPの内容からわかるように、政府は日本国債のデフォルト(償還不能)は起こりえないと考えているといえます。
 https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

◆「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」とは?
 令和4年度末で、政府の発行する国債残高は1,042兆円となっていますが、その大半が円建てで発行されています。国債はその期間が短いもので1年物から、最も長いもので40年物まで何種類かありますが、それぞれの満期償還時には、政府は国債の保有者に対して円(銀行預金)で返済します。
 では、政府はその円をどこから調達するのでしょうか?大半は借換債を発行して調達します。借換債で足りない分は新規に国債を発行し(図の①)、日銀当座預金に余った資金を保有している民間銀行に引き受けてもらいます(図の②)。
では、「民間銀行が国債を引き受けなかった場合はどうなのか?」
 そういう事態は、今のところ考えられません。
 民間銀行が国債を購入する際の資金は、民間銀行が日銀に保有する日銀当座預金から支払います。日銀当座預金は無利子ですので、民間銀行は日銀当座預金に資金を寝かせていても1円も利息が付きません。従って、経済原理に従い、民間銀行は必ず政府が発行する国債を購入します(①)。
 このように政府が国債を発行すると、全額を必ず民間銀行に引き受けしてもらえますので、デフォルト(償還不能)は考えられません。
 昨今の金融緩和策により、日銀が民間銀行の保有する国債を大量に買い上げていますので、日銀当座預金には常に潤沢な資金が置かれており、政府が発行する国債を消化できないことはあり得ないのが現状です。
 
2023年08月31日 17:58

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